目の端を何かが横切った。一瞬,黒くて平たい彼奴かと思ったが,実はヤモリだった。捕獲して外に出そうと思ったが,もちろん捕まるはずもなく家のなかのどこかへ逃走してしまった。逃げた方角からして1階の廊下か和室あたりと思われるが,捜索しても見つからず。まあいいんだけど,ワシ明日から帰省するのよね。閉め切って蒸し暑い家のなかで死んだりして,ついでに腐敗されたりしたらちょっと困るわけ。あるいは生きのびたとして,妻子が帰ってきてからのある日,ドアを開けたら突然頭のうえに落ちてきたとか,そういうのも止めてもらいたいのよ。頼むよ,ヤモリ。