ペーパーレスへの道

近頃ではよほど偏屈なジャーナルでないかぎり論文はPDF形式でダウンロードできるようになっている。したがってそれをパソコンに保存し、ディスプレイ上で読むことにすれば情報の整理も容易だし、紙の山に埋もれることもない。嗚呼素晴しき哉ペーパーレス社会。...なんて具合には、実際はいかない。気合入れて読みたい論文はどうしても紙に印刷したくなるてこと、ありませんか。
コンピュータが普及してもなぜ紙の消費量が減らないのか。桜井・山本・加藤「植物細胞壁と多糖類」によれば、ディスプレイ画面はちらつきと文字の粗さのせいで読みにくいから印刷の需要が減らないのだという。文字の粗さということについては、通常のディスプレイは解像度が60-70 dpi、かたや紙は数千 dpiだから100倍くらいの違いがある、と書いてある。ただこの本は1991年刊で、当時からすればデジタル機器のスペックも随分上がっているから、状況は同じではないかもしれない。少なくともちらつきに関してはブラウン管から液晶ディスプレイになってマシにはなっているだろう。では、文字の粗さについてはどうだ?今使っているPowerbookの画面は1024x768ピクセルで、大体240 mm x 180 mmの表示領域となっている。てことは42.7 ドット/cmつまり108 dpi。外付けで使っている19インチ液晶ディスプレイについても同様に計算したところ87 dpiとなった。なーんだ、あんまり変っていないんだな。
とはいうものの実際に論文を印刷して読んでいたら何かと無駄には違いないし、第一面倒くさい。それで我慢してPDFのまま読む練習をしている。実際のサイズより大きく表示すれば随分マシなことはわかったし、慣れの問題も確かにあることはわかった。ただ論文のあっちこっちを行きつ戻りつして読むというやり方は(Figureが別のページにある場合)紙のほうが容易だと思う。
これに加えてダウンロードしたPDFの山をどう整理するかという問題もある。今iPapers、iPapers2、pKizzy、Papersを試しているが、どれも一長一短で決着をつけかねる。
本当は、読み方や整理法について頭を悩ます暇に論文を読むほうがいいんだけどね。